日本臨床細胞学会雑誌
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症例
肺野に孤立性陰影を認めた悪性胸膜中皮腫の 1 例
宮内 栄作工藤 慶太星 利良古田 則行平井 康夫元井 紀子石川 雄一宝来 威
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2011 年 50 巻 2 号 p. 115-119

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抄録

背景 : 悪性胸膜中皮腫の細胞診は, ほとんどが胸水が対象になっている. 胸部 CT で肺野に腫瘤陰影を認め肺腫瘍が疑われたが, 経気管支的穿刺吸引細胞診を行い腫瘍細胞が得られた悪性胸膜中皮腫を経験した. 経気管支的穿刺吸引細胞診で腫瘍細胞が得られる悪性胸膜中皮腫はまれである.
症例 : 50 歳代, 女性. 検診での胸部 X 線写真で異常陰影を指摘され, 胸部 CT で右中葉領域に腫瘤が認められた. 経気管支的穿刺吸引細胞診では, 小型の異型細胞で構成される細胞集塊が認められたが, 核の大きさが小さく, 異型性に乏しいため悪性細胞と判定できなかった. 確定診断のための胸腔鏡下肺部分切除による組織診および免疫染色にて, 上皮型悪性胸膜中皮腫と診断された.
結論 : 肺に腫瘤を形成した悪性胸膜中皮腫症例において, 経気管支的穿刺吸引細胞診で悪性細胞が採取された. 細胞診に際して臨床情報を十分に把握し診断をする必要がある.

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© 2011 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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