日本臨床細胞学会雑誌
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自然尿に出現した集合管癌 (Bellini管癌) の1例
佐藤 勝明上見 嘉子西田 靖昌谷本 一夫上田 善道勝田 省吾
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2006 年 45 巻 3 号 p. 194-198

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抄録

背景: 集合管癌 (Bellini管癌) は, 腎細胞癌の特殊型に分類されるまれな癌で, 本邦における細胞学的文献報告例は少ない.今回, われわれは自然尿中に腫瘍細胞が出現した集合管癌の1例を経験したので, 細胞像における鑑別診断を中心に報告する.
症例: 56歳, 女性.肉眼的血尿を認め来院した.自然尿細胞診で腺癌と診断され, 造影CTで右腎上極に径2.5cmの乏血管性腫瘤を認めたため, 腎癌の診断で右腎摘出術が行われた.自然尿細胞診では, 血管に沿った乳頭状小集塊を認め, 細胞はN/C比が高く, 偏心性の核と泡沫状の細胞質を認めた.腎杯洗浄尿では不規則に重積する結合性の弱い細胞集塊を認め, 印環型を呈する細胞もみられた.組織学的には, 腫瘍細胞は空胞状核と好酸性細胞質を有する異型細胞が乳頭状から管状に増殖し, 管腔内や細胞質内に粘液を認めた.癌細胞は腎孟粘膜および腎被膜に線維増生を伴い浸潤していた.レクチン組織化学および免疫組織化学的に集合管マーカーが陽性であることから集合管癌と診断した.
結論:腎集合管癌の尿細胞診において, 細胞質内粘液を含む異型細胞の乳頭状集塊は一つの指標になりうると考えられた.

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