2018 年 18 巻 p. 106-117
本研究では,保育所保育士を対象としたインタビュー調査を通して,保育所保育士による保護者支援のあり方を再考することを目的としている.保育所保育士が保育所を利用する子どもの保護者や家庭を支援していく際に,重視していることは何か,また,保育士が抱く戸惑いや困難さ,悩みにはどのようなものがみられるのか,それらを乗り越え,解消するために必要な条件や環境を明らかにするため,インタビュー調査を実施した.
さらに,保育士の経験年数によって異なると考えられる保護者支援の困難さや悩み,その乗り越え方や,保護者との関係性・保護者の捉え方の変化に着目し,SCAT(Steps for Coding and Theorization)を用いて分析を行ったところ,保育士としての経験の蓄積や職務の差によって,難しく感じる内容や乗り越え方,対応方法が変化してきており,それらの保育所内での共有や活用も課題であるということが明らかになった.