【目的】地域在住高齢者における運動器疾患,転倒歴および多剤併用とサルコペニアとの関連性を調べることを目的とした。【方法】地域コホート研究に参加した高齢者905 名を対象とし,運動器疾患の有無,1 日の服薬数,過去1 年間での転倒歴を聴取した。サルコペニアはAWGS2019 の基準で判定した。【結果】全対象者のうちの166 名(18.3 %)がサルコペニアに該当した。骨粗鬆症を有する者ではサルコペニアの該当者が有意に多かったが,脊椎疾患および変形性関節症とサルコペニアとの関連は認められなかった。ロジスティック回帰分析の結果,運動器疾患とサルコペニアの関連は確認されず,多剤併用(6 剤以上)(オッズ比1.56)および転倒歴(オッズ比1.65)がサルコペニアと有意に関連していた。【結論】骨粗鬆症を有する高齢者ではサルコペニアに該当する者の割合が高かったものの,多変量解析においてはサルコペニアと運動器疾患との関連性は認められず,多剤併用および転倒歴がサルコペニアと関連する要因として抽出された。