臨床神経学
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症例報告
高安動脈炎を既往にもつ慢性型/くすぶり型成人T細胞白血病に進行性多巣性白質脳症を発症した1例
福元 尚子白石 裕一中道 一生中嶋 秀樹西條 政幸辻野 彰
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2016 年 56 巻 2 号 p. 82-87

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抄録

症例は65歳男性である.急速進行性の認知機能低下で発症した.頭部MRIのFLAIR/T2強調画像で大脳皮質下に広汎な高信号域を認め,髄液よりJohn Cunningham virus-DNAを検出した.最終的に脳組織所見から進行性多巣性白質脳症と確定診断した.合併症として高安動脈炎と慢性型/くすぶり型成人T細胞白血病が認められた.発症早期にメフロキンとミルタザピンによる治療を開始したが,症状・画像共に改善なく約半年後に死亡した.本例において治療効果が認められなかった理由としては,HTLV-I感染に加えて高安動脈炎によるB細胞系の異常が影響した可能性を考えた.

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© 2016 日本神経学会
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