臨床神経学
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症例報告
先天性顔面神経麻痺に核上性眼球運動障害を呈し,Möbius症候群と診断した1例
古田 充三原 雅史木村 康義奥野 龍禎高橋 正紀望月 秀樹
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2015 年 55 巻 4 号 p. 233-237

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抄録

症例は18歳男性である.生下時より咀嚼筋,顔面筋の筋力低下があり,当科を受診した.両側咬筋の萎縮と顔面筋力の重度低下をみとめ,閉口困難・兎眼を呈していた.左眼に内外転障害と随意運動時の上転障害をみとめたがBell現象は残存していた.顔面神経伝導検査で遠位潜時は保たれていたが瞬目反射は導出不能で,針筋電図では舌に神経原性変化をみとめた.上肢筋生検や皮膚生検でも異常所見はなく,先天性顔面神経麻痺に核上性眼球運動障害を呈したMöbius症候群と診断した.Möbius症候群は先天性の顔面麻痺と外転麻痺を呈する症候群だが,その病態と症状は多様である.同症候群を考える上で貴重な症例であり,ここに報告する.

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© 2015 日本神経学会
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