2013 年 53 巻 11 号 p. 934-937
漢方薬は,草根木皮などの生薬を数種類,組み合わせて構成される.重篤な副作用として偽アルドステロン症,間質性肺炎,腸間膜静脈硬化症などが知られているが一般的に安全性は高い.詳細な作用機序が未解明なため,現代でも処方の選択は古典に記載された臨床医の経験則によることが多い.実用性に乏しい古代の理論に執着する必要はないが,陰陽・虚実・寒熱・表裏というそれぞれが対をなす病態分類や,気・血・水,五臓六腑,六病位などの基本的な概念を理解することにより先人の経験を活かすことができる.神経内科の日常診療で頻度の高い頭痛・めまい・しびれなどを訴える患者には,原疾患を問わず漢方薬の適応がある.