臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X
症例報告
慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー様の経過で発症し筋萎縮性側索硬化症の合併が確認されたCharcot-Marie-Tooth病1Aの1剖検例
樋口 雄二郎崎山 佑介西平 靖遠藤 一博諏訪園 秀吾末原 雅人
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 52 巻 10 号 p. 750-756

詳細
抄録

症例は70歳男性である.右上肢の脱力および感覚障害にて発症した.病初期はCIDPと診断され,一時的に免疫グロブリン大量静注療法,ステロイドなどの免疫療法の効果がみられたが,しだいに治療抵抗性の経過を辿り進行した.後に,PMP22遺伝子重複が判明し,CMT1Aと診断された.腓腹神経生検では onion bulb形成に加え炎症細胞の浸潤をともなう脱髄がみとめられた.その後も,筋力低下は四肢・体幹に急速に拡大し,球麻痺,呼吸筋麻痺も出現し,発症から約4年の経過で死亡した.病理解剖にてALSと組織診断した.本症例はCMT1AにALSを合併したはじめての症例報告である.

著者関連情報
© 2012 日本神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top