2012 年 52 巻 10 号 p. 750-756
症例は70歳男性である.右上肢の脱力および感覚障害にて発症した.病初期はCIDPと診断され,一時的に免疫グロブリン大量静注療法,ステロイドなどの免疫療法の効果がみられたが,しだいに治療抵抗性の経過を辿り進行した.後に,PMP22遺伝子重複が判明し,CMT1Aと診断された.腓腹神経生検では onion bulb形成に加え炎症細胞の浸潤をともなう脱髄がみとめられた.その後も,筋力低下は四肢・体幹に急速に拡大し,球麻痺,呼吸筋麻痺も出現し,発症から約4年の経過で死亡した.病理解剖にてALSと組織診断した.本症例はCMT1AにALSを合併したはじめての症例報告である.