臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
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症例報告
健忘症状で気づかれた17番染色体に連鎖したタウ遺伝子変異による家族性前頭側頭型認知症パーキンソニズムの1家系
久徳 弓子宮崎 裕子山下 陽三桑野 良三村上 龍文砂田 芳秀
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2012 年 52 巻 2 号 p. 73-78

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抄録

症例は45歳頃よりものわすれがあり当科入院した女性である.入院時WAIS-R FIQ 83,WMS-R一般的記憶63,注意/集中力107と健忘が主体であった.頭部MRIにて両側海馬領域と頭頂葉の軽度の萎縮をみとめた.健忘型MCIと暫定診断したが,認知機能は増悪し5年後にはパーキンソニズムと前頭葉徴候が出現した.タウ遺伝子変異IVS10 C>Tをみとめ,タウ遺伝子変異によるFTDP-17と確定診断した.典型的なFTDの臨床像を呈した妹にも同じ変異をみとめたが,表現型は姉妹間でことなった.本症は臨床症状が多様であり詳細な病歴聴取と経過観察,積極的な遺伝子解析を要する.

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© 2012 日本神経学会
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