2009 年 49 巻 6 号 p. 370-373
症例は75歳男性の多系統萎縮症である.嚥下障害に対して内視鏡的胃瘻造設術をおこなったが,胃食道逆流のため,誤嚥性肺炎をくりかえした.また内視鏡時に,floppy epiglottisのため気道閉塞を生じ,NIPPVにて改善した.経鼻内視鏡下に経胃瘻的空腸栄養を施行し,誤嚥は消失したが,5カ月後チューブ閉塞を生じ,経胃瘻的小腸瘻造設をおこなった.神経変性疾患の栄養管理上,内視鏡的小腸瘻造設術は選択肢の一つとなりうる.また,多系統萎縮症患者は,上気道閉塞を生じやすく,上部消化管内視鏡検査に際しては経鼻内視鏡を選択し,NIPPVなどの準備をおこなう必要がある.