臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X
症例報告
Voxel-based morphometry,FineSRTが診断に有用であったIVIg有効抗グリアジン抗体陽性小脳失調症の1例
南里 和紀大塚 敬男竹口 将文田口 丈士石河 朝子三苫 博小泉 潔
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 49 巻 1 号 p. 37-42

詳細
抄録

51歳の男性例を報告した.5年前から歩行失調,構音障害が緩徐に増悪し独歩困難となった.頭部MRI,SPECT-eZISにおいて小脳萎縮,血流低下所見は明らかではなかった.しかし,voxel-based morphometry,fineSRTでは,小脳皮質萎縮,血流低下所見をみとめ,抗グリアジン抗体,抗SS-A/Ro抗体が陽性であり,自己免疫性小脳失調症と診断した.大量免疫グロブリン療法が著効し,独歩可能となった.進行性小脳失調症の患者では,voxel-based morphometry,fineSRTなどの画像検査で早期に小脳萎縮を診断し,抗グリアジン抗体,抗GAD抗体,抗甲状腺抗体などが陽性であれば,自己免疫性小脳失調症である可能性があり,IVIgをふくめた免疫治療を考慮すべきである.

著者関連情報
© 2009 日本神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top