地質学雑誌
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宮崎縣高鍋層群光音寺層の有孔蟲化石
大炊御門 經輝
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1941 年 48 巻 578 号 p. 516-519

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抄録

宮崎縣兒湯郡上江村兀(ハゲ)ノ下(小丸川沿ひ國道の東側の崖)に於いて九州帝國大學助教授松本逹郎氏及び同大學地質學科學生諸君が採集した有孔蟲化石を松本氏の御好意に依り調査したので此處に簡單に報告する。化石産地の地質は松本氏に依れば 3層に區別する事が出來る。即ち下部より(1)細土, (2)砂・細土の互層, (3)礫である。(1)細土の中に貝化石は全般に産するが, 特にレンズ状に更に多産する部分がある。化石表中の1Cは是等のレンズの1つである。(2)層の化石は下底部にレンズ状に集積してゐて, 何れかと云ふと掃寄せ式の産状に近い。化石表の2は此の(2)層の下底部の化石を示してゐる。(1)層と(2)層との間には第1圖に示す樣に小層序間隙があり, 堆積の杜絶がある。此の點は大塚彌之助博士も認めて居られるが, (1)層及び(2)層は共に光音寺層に含められてゐる。1Cと2の有孔蟲群を比較すると1CではMiliolidae が種類, 個體數共に少いが, Nodosariidaeは可なり多く, Globigerina の個體數も可なり多い事から(1)層堆積當時の状態は可なり深い外海を思はせる。是に反し(2)層に於いてはMiliolidae は1Cに比べ個體數が多く, Nodosariidae, Globigerinidae の少い事より淺海, 灣内中に堆積した事を思はせる。Gaudryina ogasaensis, Listerella bradyana tarukiensis, Lenticulina totomiensis, Robulus abensis, Baggina totomiensis等を産し, 1C及び2の有孔蟲群は遠江の掛川層群及び土佐安藝郡の鮮新統の有孔蟲群と著しい類似を示してゐる。

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