鹿児島湾沿岸は現在もリフティングを続ける地域であるが,湾奥にあってマグマが集積して隆起している姶良カルデラ縁や,開析が進んだ姶良や国分の谷などで,リフトを充てんする火砕流堆積物と湖沼成堆積物,内湾~浅海堆積物が観察できる.このサクセッションは,鹿児島リフトのリフティングと火山活動,そして海水準変動とが連関したプロセスの中で形成されたもので,複雑な火山堆積システムをなしているように見える.いまだ未解明な点が多々あるが,島弧内リフトの火山堆積システムを紐解くひとつの事例として観察すると,思わぬことが見えてくる可能性がある.