地質学雑誌
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論説
和泉山脈地域における和泉層群の有機物熟成と堆積盆の埋没モデル
清家 一馬平野 弘道
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2013 年 119 巻 6 号 p. 397-409

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抄録

和泉山脈および阿讃山地地域の和泉層群において有機物熟成指標による熱熟成の検討を行った.その結果,平均ランダム反射率は0.69~2.64%,Tmaxは432~548°C であり,南北方向の熟成変化に注目すると和泉山脈地域全域において北縁に近づくほど高い熟成を示した.また,和泉山脈地域西部および中部の地表での反射率から,重回帰分析を用いて3次元の熱熟成勾配を検討した結果,等熟成面は基底不整合に平行なN78°E走向で23°南傾斜し,その温度勾配は約23~26°C/kmと見積もられた.和泉山脈地域東部の高い熱熟成に関しては,堆積盆の地域的な上昇が原因の可能性がある.和泉層群の大局的な温度構造を形成した熟成過程として堆積盆発達に関連した3つの仮説プロセス,堆積盆の傾動,大規模熱源の存在,および堆積盆内での沈降速度の差異の影響が挙げられる.

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© 2013 日本地質学会
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