地質学雑誌
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論説
紀伊半島北部の室生火砕流堆積物と周辺に分布する凝灰岩の対比およびそれらの給源:軽鉱物屈折率を用いたモード分析によるアプローチ
山下 透檀原 徹岩野 英樹星 博幸川上 裕角井 朝昭新正 裕尚和田 穣隆
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2007 年 113 巻 7 号 p. 340-352

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抄録

紀伊半島北部に分布する室生火砕流堆積物とその周辺の凝灰岩(石仏凝灰岩,古寺凝灰岩,玉手山凝灰岩)および外帯中新世珪長質岩類について,屈折率を用いた軽鉱物組合せモード分析を行った.その結果,紀伊半島北部の中期中新世珪長質火砕流堆積物の斜長石系列は,すべてオリゴクレース~ラブラドライトで特徴付けられることから,これら4者は対比された.加えて室生火砕流堆積物は外帯に分布する熊野酸性岩類の流紋岩質凝灰岩の一部と対比できた.これらのことから,室生火砕流堆積物と石仏凝灰岩,古寺凝灰岩,玉手山凝灰岩は15 Maの熊野地域のカルデラを給源とする同一の大規模火砕流堆積物であると推定される.また熊野酸性岩類の中のアルバイトで特徴付けられる流紋岩質凝灰岩は,同じ軽鉱物組合せをもつ中奥弧状岩脈を給源とする可能性がある.

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© 2007 日本地質学会
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