地質学雑誌
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論説
飛騨外縁帯・青海結晶片岩の変形系列—変形相解析に基づいた試み—
竹之内 耕
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2004 年 110 巻 10 号 p. 608-619

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抄録

変形相解析に基いて, 蛇紋岩メランジュをなす飛騨外縁帯・青海結晶片岩の変形系列が明らかにされた. 青海結晶片岩では変形小構造の空間分布によって4つの変形分帯がなされ, 変形小構造のうち, 高平均延性度相と低平均延性度相は各帯共通に, 一部の高平均延性度相と中平均延性度相は各帯で特徴的に出現する. また, 時代とともに平均延性度が低下していく条件の下で変形が進行していった. また, 岩相と変形小構造の形成関係を考慮に入れた変形相解析とファブリック解析は, 変形分帯が岩相規制によるものではなく, 変形史を反映したものであることを示している. これらの解析から, 青海結晶片岩は, 層平行剪断で形成された高平均延性度相からなる前期変形時相, 各変形帯特有な発達を示す高~中平均延性度相からなる中期変形時相, 低平均延性度相からなる後期変形時相に区分され, これら3変形時相をへて上昇したと考えられる.

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© 2004 日本地質学会
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