沖浦カルデラは, 東北日本八甲田地熱地域に位置する15×10 kmのカルデラである.およそ50 km3のカルデラ埋積堆積物は大規模~小規模な火砕流堆積物, 土石流堆積物, そしてデイサイト溶岩からなり, 少なくとも18ユニットに分けられる.カルデラ埋積堆積物には, 上位と下位の火砕流堆積物にいくつかのアバット不整合の関係が認められる.これらのアバット面は火砕流噴出によってほぼ同時に形成された断層崖に相当すると推定される.大規模な火砕流ユニットの流下方向を検討した結果, カルデラ中央部または西部にあるカルデラ内部断層付近で噴火が生じたと推定される.重力測定および試錐調査のデータ, そして火砕流の噴出と同時に形成されたカルデラ内部断層の存在からカルデラ底が幾つかの区画に分離していることがわかる.このようなカルデラの地下構造はカルデラ内部の複数の火口よりいくつかの火砕流が噴出することによって形成された.