地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
岩手県湯田盆地の堆積盆発達史 : 新生代後期における奥羽山脈中軸部の地質構造発達史に関連して
中嶋 健檀原 徹鎮西 清高
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 106 巻 2 号 p. 93-111

詳細
抄録

奥羽山脈中軸に位置する湯田盆地の層序学的・年代学的検討から, 盆地内の大石層, 小繋沢層, 黒沢層および花山層は中期中新世~鮮新世(16-3 Ma)にわたるほぼ連続した地層で, 12-9 Maに顕著な年代のギャップが存在することが明らかになった.花山層は堆積相と化石から, 浅海~河川で形成された高周波シーケンスから構成され, この盆地が前期鮮新世まで日本海とつながっていたことが判明した.盆地の沈降曲線などから, この付近の奥羽山脈は中期中新世前期の急速な沈降後, 1)12-9 Maに起こった一時的・急速な隆起と和賀山地の陸化, 2)6.5-3 Maの隆起域と沈降域の分化, 3)3 Ma以降の逆断層の活動による脊梁全体の隆起と傾斜不整合の形成の3段階の隆起を経てきたことがわかった.和賀山地と真昼山地は異なった隆起と侵食の歴史を経てきた山地で, それが現在見られる地形と構造の違いを生んだと考えられる.

著者関連情報
© 日本地質学会
次の記事
feedback
Top