地質学雑誌
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北海道中央部~西部の新第三紀火成活動の変遷 : K-Ar年代, 火山活動様式および全岩化学組成から見た東北日本弧北端の島弧火成活動の変遷
広瀬 亘岩崎 深雪中川 光弘
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2000 年 106 巻 2 号 p. 120-135

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抄録

北海道西南部の中期中新世以降の火山活動を, 火山岩の時空分布, 活動様式および火山岩の化学組成に基づいて, 12 Ma以前, 12-5 Ma, 5-1.7 Ma, 1.7-0 Mの各ステージに区分した.12 Ma以前には日本海沿岸を中心に高TiO2,Nb火山岩が散在し, 日本海拡大に伴う火山活動の影響が残っていたと考えられる.12 Ma以降は, 東北日本弧の北方延長として低TiO2,Nb火山岩が卓越する島弧火山活動が行われた.東北日本弧火山フロント北端は12-5 Maには増毛地域にあったが, 5-1.7 Maには札幌南方まで位置し, 第四紀には東北日本弧北端は現在の位置まで約100 km南下した.同時に5-1.7 Maには, 増毛地域は引張応力場のもとでアルカリ玄武岩質の単成火山群およびカルクアルカリ安山岩の大型盾状火山の活動場となった.東北日本弧北端の南下および増毛地域でのこうした特異な火山活動は, 大平洋プレートの沈み込みに伴う背弧海盆の形成, および千島弧前弧の東北日本弧への衝突に伴う日本海溝-千島海溝会合部の南下に対応していると考えられる.

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