Journal of Applied Glycoscience
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平成20年度日本応用糖質科学会奨励賞受賞講演
プルランおよび関連糖質に作用する酵素の構造と機能に関する研究
殿塚 隆史
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2009 年 56 巻 1 号 p. 29-33

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抄録

本論文は,多糖プルランを特異的に分解する酵素および関連糖質に作用する酵素の構造と機能に関する一連の研究について,以下のとおり述べたものである.(1) Thermoactinomyces vulgarisは,TVA I およびTVA II という2種類のプルラン分解酵素を生産する.TVA II はα-アミラーゼファミリーで初めてダイマーを形成する酵素であることを見出した.一方,TVA Iはモノマーで機能する酵素で,N末端側に特徴的な糖結合ドメインを有しており,新たなファミリー(CBM34)に分類されるに至った.(2) イソプルラナーゼの構造と機能を明らかにし,立体構造はβヘリックスと呼ばれる他のプルラン分解酵素とは全く異なる構造であることを示した.(3) TVA II 遺伝子の下流に,グルコデキストラナーゼと一次構造上相同性を示すグルコアミラーゼの遺伝子を見出したことを発端とし,Arthrobacter globiformis I 42グルコデキストラナーゼ(GDase)およびプロセシンググルコシダーゼ I と一次構造上相同性を有するEscherichia coli由来酵素(YgjK)について構造と機能の解析を行った.GDaseおよびYgjKはほとんどデンプンを分解せず,その基質特異性グルコアミラーゼと全く異なるにもかかわらず,本研究より,これらの酵素はグルコアミラーゼと同様の(α/α)6バレルと呼ばれる共通の構造を有することが明らかとなった.

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© 2009 by The Japanese Society of Applied Glycoscience
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