認知心理学研究
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作業検査式イグニション・インターロック装置開発に向けた標準的な検査性能評価法の提唱
松村 健太山越 健弘
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2012 年 9 巻 2 号 p. 125-135

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抄録

作業検査式イグニション・インターロック装置 (IID) は,非特異的な認知能力の低下を検知するため,これからの交通安全に大きく貢献すると期待される.しかしながら,肝心の作業検査自体の性能を評価するための適切な方法が存在しなかった.そこでわれわれは,独立変数に血中アルコール濃度(blood alcohol concentration:以下BAC),従属変数に作業成績の低下を取る回帰分析に基づき,アルコール非摂取時の平均作業成績を超えられなくなるBAC濃度である境界点(BP点),アルコール非摂取時の95%下限作業成績を超えられなくなるBAC濃度である臨界点(CP)を算出する新たな作業検査性能評価法を提唱した.本分析法をこれまでの典型的な分析方法と比較した結果,BP,CPを求める方法には,異なる実験や検査間における検知能力の直接的な比較が可能となる,少ないデータからでも他の方法と比較して正確に推定が可能,BAC濃度を正確に調整する必要がない,という優れた特徴があることが示された.以上より本法は,IID研究における作業検査性能評価の標準法としてふさわしい方法であると結論づけられた.

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© 2012 日本認知心理学会
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