栄養学雑誌
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還元麦芽糖水飴を用いた低カロリー食品のマルトトリイトール含量について
津田 明子萩原 清和小田嶋 俊秋庭 正典木田 政博市川 富夫
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1986 年 44 巻 6 号 p. 337-342

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抄録

還元麦芽糖水飴を用いた低カロリー食品中のマルトトリイトールを水あるいは含水アルコールで抽出し, TMS化後, 2%OV-17のカラムでのガスクロマトグラフィーにより分析することが可能となった。還元麦芽糖水飴を用いたキャンディー, ビスケット, ジャム, ジュース, ゆであずき, 甘味料のマルトトリイトール含量は, 100g当たり0.6~17.9gであり, マルチトールに対する含有比は8.4~25.9%であった。
還元麦芽糖水飴を用いた上記食品のエネルギー値の算出を, 糖質について次の3種の方法を用いて行い, それらを比較した。
(1) 生理的燃焼値を有する総水溶性還元糖, 酵素消化糖, 不溶性でんぷん, およびソルビトールを測定し, この合計値に4を掛ける (特栄法)。
(2) 糖質からマルチトールを差し引いた値に4を掛ける (JSD法)。
(3) 糖質からマルチトールとマルトトリイトール量の2/3を差し引いた値に4を掛ける (JSD改良法: この方法は, マルトトリイトールがマルチトールにグルコースが1分子結合したものであり, 生体においてはこのグルコースのみが利用されることが予想されるので, マルトトリイトールの分子量の1/3に4kcalを掛け, マルトトリイトールのエネルギー値として計算したものである)。
全ての食品について, (2) 法の値は (1) 法の値より大であったが, (3) 法より得られた値は, (1) 法に近似した値であった。還元麦芽糖を用いた食品のエネルギー値算出にはマルトトリイトールを考慮に入れる必要があるかも知れない。

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