季刊地理学
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論文
岐阜県瑞浪市大湫盆地堆積物に記録された花粉化石群の変動
—— 酸素同位体ステージ9以降の植生と気候の変遷 ——
守田 益宗神谷 千穂佐々木 俊法宮城 豊彦須貝 俊彦柳田 誠古澤 明藤原 治
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2010 年 62 巻 4 号 p. 195-210

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抄録

本州中部の岐阜県瑞浪市大湫の小盆地で掘削されたOK4コアの花粉分析を行ない,下位よりOK4-1∼OK4-28の局地花粉帯を区分した。これらの花粉帯を先行研究であるOK1の局地花粉帯とともに,堆積物中に挾在する広域テフラの絶対年代を基にLR04の海洋酸素同位体曲線と比較した。その結果,大湫盆地の花粉分析結果はMIS1-9までの過去34万年の植生変遷を連続して記録していることが明らかとなり,OK4-19帯はMIS5.5,OK4-16a帯終末はMIS7.1またはMIS7.3,OK4-13帯はMIS7.5,OK4-10帯はMIS8.5,OK4-7帯はMIS9.3そしてOK4-5帯はMIS9初期またはMIS10終末期に対比された。
MIS9.3とMIS8.5はスギ林の時代であった。MIS7.5とMIS7.3またはMIS7.1の時代にはブナやコナラ亜属などの冷温帯落葉広葉樹林が,MIS5.5の時代には暖温帯北部の気候下にコナラ亜属,ブナ,マツ科針葉樹などからなる混交林が繁茂した。氷河時代のMIS8にはやスギとマツ科針葉樹が針葉樹林を形成し,MIS6,MIS4からMIS2には寒冷・乾燥の条件下にマツ科針葉樹からなる森林が発達した。

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© 2010 東北地理学会
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