季刊地理学
Online ISSN : 1884-1252
Print ISSN : 0916-7889
ISSN-L : 0916-7889
大雪山小泉岳北東の残雪凹地における雪田消失過程
宮本 昌幸
著者情報
キーワード: 残雪凹地, 大雪山, 消雪過程
ジャーナル フリー

1999 年 51 巻 2 号 p. 134-144

詳細
抄録

大雪山小泉岳北東の残雪凹地において, 1994-1997年の消雪過程を調査し, 植生および砂礫地の分布や推定気温との関係を検討した。各年とも5月下旬には, ハイマツは完全に雪から解放されていた。また, 5-6月に消雪した地表面は, 強風砂礫地もしくは風衝地矮性低木分布地となっていた。1994, 1996, 1997年には7月中旬までに, 1995年には8月上旬までに消雪した地表面は, 雪田植物分布地となっており, それ以降に消雪した地表面は, 残雪砂礫地となっていた。雪田は1994年には8月中旬に, 1996, 1997年には8月末~9月初頭に消失したが, 1995年には越年した。雪面低下速度は,7月中旬から8月上旬に速く, これは推定気温が最も高い時期に対応する。残雪東縁の後退速度は, 推定気温が最も高い時期に速く, また推定気温の最も高かった1994年に最も速かった。いっぽう, 残雪西縁では, 気温との対応はみられなかった。各年の消雪時期は, 気温の変化による残雪東縁の後退速度の影響が大きいといえる。

著者関連情報
© 東北地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top