2016 年 56 巻 6 号 p. 336-342
俵坂トンネルは,九州新幹線西九州ルートの佐賀・長崎県境を貫く延長約5.7kmの山岳トンネルである.本トンネルの西工区は,杵島層群泥岩を掘削対象としており,地山の塑性化に伴う内空変位の増大と変形収束性の悪い傾向が確認された.このような押出し性地山に対して,掘削に伴う変形を抑制し,トンネルおよび周辺地山の安定を確保することを目的として,剛性の高い支保構造を用いた早期閉合を実施した.また,前方地山の性状を精度良く把握するために,先進コアボーリングを採用した.本稿では,押出し現象を伴う泥岩地山において,先進コアボーリングによる前方探査と適切な支保パターンによる内空変位抑制を行うことで,泥岩地山を掘削した事例を報告する.