2010 年 51 巻 3 号 p. 122-129
熊本県・天草上島に分布するタフォニを調査し, 形態的特徴等について検討した. 当地域には多数のタフォニが古第三系砂岩の急崖に形成されており, それらの確認範囲は海岸域だけでなく, 山地域にも及ぶ. 一部のタフォニでは, 天井から剥離・落下した砂粒子が底部に堆積しており, タフォニの一部は岩石表面の継続的な剥離によって現在も成長中であることを示している. また, 剥離の進行する天井部では概して岩石の強度が低く, かつ含水状態が高い地点が認められ, 天井部での岩石の風化が著しいことを意味している. 当地域のタフォニの形成に関しては, 岩石表面での塩類風化とそれに伴う強度低下が大きく関与したことが推定される.