2008 年 48 巻 6 号 p. 312-317
本稿では, 通行止めを伴う道路斜面災害の現況について述べ, その解決策の一つとして道路防災マップの作成と活用を提案する. 道路防災マップは, 道路における災害の弱点とそれへの対応を示す災害情報地図であり, 道路斜面の安定度を斜面災害のリスクとして評価をおこない, 道路における道路の維持管理および点検や, 道路改築の防災事業計画等に役立てることを目的としている.
道路防災マップの特徴は, 地形や地質, 災害履歴, 点検結果等の道路災害に関連する情報を盛り込み, 道路に隣接する斜面だけでなく, その背後斜面までをも網羅し重ね合わせることで, 予想される災害のすべての条件や事象を結びつけて考察できることにある.
中部地方の山岳道路を対象に道路防災マップを試作した結果, 背後斜面までを網羅し, 地図上で面的に点検結果を認識することができた. また, 転石や崩壊等の地形の要因を災害形態と関連づけ認識することができ, 斜面の安定度を三段階にリスク評価することができた.