2004 年 45 巻 5 号 p. 238-248
大規模火砕流が地表を覆う範囲は広範囲であり, 給源から数十km以上に及ぶ. このため地質環境の長期安定性評価の観点から, 火砕流の堆積による基盤岩への熱的影響を検討しておくことは重要である. 木研究では, 大規模火砕流により基盤岩の被った熱的影響を, フィッション・トラック (FT) 法を用いて把握し, さらに地下深部の熱履歴を外挿する解析手法の構築と, 実際の熱的影響の検証を試みた. その結果, 大規模火砕流の一つである今市火砕流の基盤岩への熱的影響として, 火砕流の基底面から深度100mの位置で60℃の温度上昇が生じた可能性があると想定できた.