主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
同じ刺激が繰り返し呈示される系列内に新奇刺激が現れると,物理的な呈示時間が同じであるにもかかわらず,新奇刺激が長く呈示されているように感じられる。この知覚時間の伸長は,反復刺激と新奇刺激が文脈的に結びついている場合に増幅することがわかっている。刺激間の結びつきは,文脈だけでなく,刺激がもつ物体カテゴリー情報によって操作することもできる。そこで,本研究では,物体カテゴリー情報による視覚刺激間の結びつきが知覚時間に及ぼす影響を検討した。実験には9名の大学生・大学院生(年齢=21.88±2.20)が参加した。参加者は標準刺激と標的刺激の物体カテゴリー情報が一致した条件(一致条件)と不一致な条件(不一致条件)で,標準刺激と標的刺激の呈示時間を比較し,どちらが長く知覚されたかを二肢強制選択で回答する時間識別課題を行なった。その結果,一致条件と不一致条件間では,知覚時間の有意な差は観察されなかった[t(8)=0.885, p=0.403, Cohen’s d=0.295]。したがって,カテゴリーレベルでの逸脱が知覚時間へ与える影響は小さいことが示唆された。