主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
青年前期の睡眠時間の短縮や就寝時刻の遅れは深刻だが,その検討は少ない。本研究では,中学生・大学生を対象に睡眠と疲労度の関連を比較検討した。研究協力者は中学生24名,大学生15名。睡眠測定のため,5日間利き手にアクチクグラフ(米国A.M.I)を装着した。疲労度はPVT-192型(米国A.M.I)を用いて測定した。指標はMRRT (反応時間(RT)の逆数の平均)・LP (RTが 500 ms以上の回数)・MSRRT(最長RTから10%までのRTの逆数の平均)・FS (刺激呈示前の反応回数) とした。中学生は大学生に比べ,就寝時刻が早く睡眠時間が長く入眠潜時が短かった。一方でLPとFSが高くMSRRTが低く,中学生の方が疲労度は高かった。また中学生では,入眠潜時とLPに負の相関(r=-.440,p<.05),MSRRTに正の相関(r=.518,p<.01)があり,入眠潜時と疲労度に負の相関が見られたが,大学生では見られなかった。疲労度の増加に伴い入眠潜時が短縮するが(Dinges, et al., 1997),成熟するにつれ睡眠覚醒の制御に発達的変化が生じ,長く覚醒できるようになる(Taylor, et al., 2005)。本結果から大学生と比較し中学生では,日中の疲労は睡眠時に直接的な影響があることから,睡眠覚醒の制御が未熟である可能性が示唆された。