日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告 [成人心臓]
経皮的僧帽弁接合不全修復術後の残存逆流に対する僧帽弁形成術の1例
桑内 慎太郎細野 光治植月 友彦大野 雅人坂下 英樹岡田 隆之善甫 宣哉湊 直樹川副 浩平
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2023 年 52 巻 6 号 p. 396-400

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抄録

症例は89歳,男性.88歳時に他院で器質性僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対しMitraClipによる経皮的僧帽弁接合不全修復術を施行されたが,中等度以上のMRが残存した.以後,徐々に腎機能低下と心不全が増悪し手術目的で紹介となった.大動脈弁狭窄症も併存したので,僧帽弁形成術と大動脈弁置換術を行った.術後経過は良好で,腎機能も改善し,術後14日目に前医へ転院となった.器質性MRにMitraClipを行う際には開心術の耐術能と僧帽弁の解剖学的妥当性とを慎重に検討して治療方針を決定するべきである.また中等度以上の逆流が残存した場合の対応もあらかじめ計画しておくべきである.

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