日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
急性大動脈解離に伴う大動脈基部病変の造影CTによる早期診断
川田 忠典舟木 成樹鎌田 聡小山 照幸宮本 成基菊地 慶太北中 陽介木村 加奈子武井 裕山手 昇
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 25 巻 5 号 p. 279-284

詳細
抄録

急性大動脈解離の早期診断, 早期外科治療が可能になるにつれて大動脈基部外膜破裂, 冠動脈解離腔内断裂などの大動脈基部破壊例あるいは冠動脈解離による冠血行不全併発例に遭遇する機会が増加している. このような病変は大動脈造影検査が診断的であるが, 近年, 非侵襲的検査法によって診断が確定されたならば大動脈造影は除外される傾向にある. したがって, 初期診断上, もっとも利用度の高い造影CTにてこれらの病変を予知することは重要である. そこで, 49例の大動脈解離例の造影CT上の諸所見と大動脈造影像および術中所見から得られた所見とを比較した. 大動脈基部に intimal flap 像が同定しえた6例中4例 (66.7%), 大動脈基部径35mm以上でAAE例を除いた14例中2例 (14.3%) に大動脈基部再建あるいはCABGを要するような大動脈基部破壊例が含まれた. 大動脈基部破壊9例中8例は基部径40mm以上で有意に高値であった. 以上より, 造影CT上の大動脈基部内隔壁同定, 基部径の40mm以上の拡大所見は大動脈基部破壊を伴う基部病変合併例を示唆する重要所見であると結論した.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
次の記事
feedback
Top