日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
大動脈縮窄症に伴う胸部下行大動脈瘤破裂例に対してPCPSを用いた1手術例
西本 孝福本 仁志辻井 英治衣笠 誠二
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 22 巻 2 号 p. 123-126

詳細
抄録

大動脈縮窄症に併発した比較的まれな胸部下行大動脈瘤の破裂例に対し, 経皮的部分体外循環 (PCPS: percutaneous cardio pulmonary support system) を用いて, 人工血管置換術を施行した. 症例は22歳男性, 3年前から胸部下行大動脈瘤を指摘されていたが無症状のため放置. 今回, 胸痛が出現し紹介来院した. 上下肢収縮期血圧差は70mmHg, 大動脈造影などから定型的大動脈縮窄症に併発した胸部下行大動脈瘤と診断した. 発症5日後の胸部レントゲン写真にて多量の左胸水出現, 瘤破裂の診断で緊急手術を施行した. 手術にはPCPSを使用したが, 操作が簡便で血行動態も安定しており, ヘパリンの使用量や出血量も少なく有用であった. 瘤内面は, 大動脈峡部からの血流ジェットが当たる部位に一致して, 長軸方向に4cmの亀裂を認めた. 内膜および中膜は断裂しており, 中膜と外膜の間に血腫が存在した. Open rupture を外膜のみで免れた sealed rupture であった.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top