2018 年 47 巻 p. 211-217
【目的】知的障害児は高頻度に視機能障害を伴い、視機能管理の重要性が報告されている。しかし、眼科医療でどのように知的障害児に対応しているのか実態はわかっていない。そこで今回、視機能評価の現状や今後の課題を明らかにすることを目的とし、視能訓練士を対象とした質問紙法による調査を行った。
【対象及び方法】平成28年7月~9月に、日本小児眼科学会・日本弱視斜視学会に所属する医師が在籍する病院、大学附属病院、小児専門病院、療育施設に併設する眼科および診療所より重複を除いた計324施設に勤務する視能訓練士を対象とし、無記名自記式質問紙法を実施した。
【結果】視能訓練士727人(191施設)の回答が得られた。知的障害児の視力検査法について学習経験のある視能訓練士は31%、知能・発達検査の学習経験については17%のみであり、知的障害児が来院した際の検査方法や対応について82%の視能訓練士が迷った経験があると答えていた。知的障害児に対する医療・対応の現状や今後の課題については、知的障害に関する知識獲得や検査法の向上についての意見が60件と最も多い結果であった。
【結論】多くの視能訓練士が知的障害児の検査方法や対応について迷った経験があり、知的障害について学ぶ機会を得たいという積極的な意見が多くみられた。障害特性や自覚的な検査が困難な児に対する視機能評価法についての知識や技術の向上の必要性が示唆された。