第四紀研究
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2011年東北地方太平洋沖地震に伴う津波により九十九里海岸中部に形成された堆積物
藤原 治澤井 祐紀宍倉 正展行谷 佑一
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2012 年 51 巻 2 号 p. 117-126

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抄録

2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)による津波堆積物を,津波の2日後の3月13日に九十九里海岸中部で観察した.この地域では,津波は海岸から約1km内陸まで遡上した.津波堆積物は内陸へ向かって次第に薄く細粒になり,泥質砂の薄層を経て遡上限界付近では植物片などの集積帯となる.津波堆積物を特徴づけるベッドフォームは種々のリップルである.形態としてはカレントリップルが普遍的に見られ,バルハン・リップルもしばしば見られた.場所によっては,砂の薄層とマッドドレイプが繰り返し重なる多重級化構造が見られ,津波が何度も遡上を繰り返したことを示している.こうした堆積学的な情報は,津波による堆積作用の理解や,ストームなどほかの堆積物との識別にも貢献する.

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© 2012 日本第四紀学会
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