第四紀研究
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越後平野中央部,白根地域における完新世の環境変遷
安井 賢小林 巖雄鴨井 幸彦渡辺 其久男石井 久夫
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2001 年 40 巻 2 号 p. 121-136

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抄録

越後平野内陸部の白根地域における沖積層を対象に,ボーリングコアの層相,軟体動物,有孔虫および珪藻の分析を行い,完新世における堆積環境の変化を復元した.その結果,海水の影響を強く受けた動物群が内陸部から初めて発見されたほか,以下のような環境変遷史を編むことができた.(1)約8,600~7,200年前には,縄文海進に伴い外洋水が流入し,塩分濃度の高い内湾が形成された.(2)約7,200年前には白根地域北部で砂堆が成長しバリヤーとなって,内側には汽水の潟湖が形成された.(3)約6,800年前には潟湖が最も拡大した.これは当地域における縄文海進高頂期に相当する.(4)約6,800年前以降は潟湖が埋積され,海岸平野へと変貌していく時期に相当する.(5)この間の約5,500年前,約4,000年前および約2,000年前の計3回にわたり水域が拡大し,このうち5,500年前,2,000年前の2回は海水が浸入した.

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