堆積学研究
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論説
有機熟成度を推定するための化石花粉の粒子単体を対象とした赤外吸収スペクトルの測定法
相澤 武宏氏家 良博
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2008 年 67 巻 1 号 p. 19-25

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抄録

Akiyama et al.(1992)は,更新統の2つの泥炭試料から分離したトウヒ属の花粉粒子の赤外吸収スペクトルを測定した.我々は,Akiyama et al.(1992)の方法を一般的な堆積岩から分離した化石花粉の粒子単体に応用した.顕微透過反射法で赤外吸収スペクトルを測定するために,スライドガラス上に粘土とアルミホイルを載せた試料の土台を作成し,実体顕微鏡下で試料の土台上の有機物の中から化石花粉の粒子単体を探した.赤外顕微鏡を装着したフーリエ変換赤外分光光度計(顕微FTIR)を用いることにより,化石花粉の粒子単体を対象とした赤外吸収スペクトルの測定が可能である.化石花粉の粒子単体の赤外吸収スペクトル上のOH, 脂肪族CH2, C=O, および芳香族C=Cの官能基の強度は,化石花粉を含む堆積岩の有機熟成を反映しているであろう.

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© 2008 日本堆積学会
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