Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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トロンボスポンジンの構造と機能
William Frazier水野 保子
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1992 年 4 巻 16 号 p. 152-158

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抄録

トロンボスポンジン (TS) はいくつかのタイプの細胞の移動、接着、増殖の急性調節に関与すると思われるタンパク質のファミリーである。このタンパク質はいくつかのモジュラードメインから成り、そのうちの少なくとも4つは細胞結合部位を持っている。これらの部位の1つであるN末端のヘパリン結合部位はヘパリンや類似の硫酸化多糖と結合する。他の3つの結合部位は一次ペプチド配列の中に存在している。3つのうちの1つは、カルシウム結合部位に存在するRGDA配列である。2つめの結合部位は、最近、TSのプロパージン様繰り返し構造中に同定されたものであり、CSVTCG配列を含む部位である。これは化合物接着部位であるらしく、この配列のすぐ下流には硫酸化多糖が結合する陽性に荷電したアミノ酸のクラスターが続き、また直前にはいくつかのTSの相同体の中に保存されているWXXWXXWモチーフがある。TSのC末端ドメインは近くのRGD配列に依存しない別の細胞接着部位を含むようである。細胞のこのC末端のペプチド部位への結合は、近くのヘパリン結合部位によって強められるかもしれない。これらの部位すべてに対するレセプターが同定されつつある。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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