Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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グリコウイルス
Yasuhiro Aoyama
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2005 年 17 巻 94 号 p. 39-47

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抄録

カリックスレゾルカレン骨格を基盤とする両親媒性の大環状グリコクラスター化合物は水中で5nmサイズのミセル様ナノ粒子 (GNP) を形成する。糖残基はリン酸イオンに対して水素結合能を有し、これに基づきGNP粒子はNa2HPO4により凝集する。プラスミドDNA上には数とサイズと形の制御を伴って集積し、50nmサイズの人工グリコウイルスを与えるが、これは、糖の種類によってはさらに会合する。グリコウイルスはエンドサイトーシスを介して培養細胞に感染するが、これはサイズ許容のエンドサイトーシスが可能な単量体グリコウイルスに限定される。エンドサイトーシスにおいて50nmが最適サイズであることはGNP (5nm)、グリコクラスター被覆CdSe量子ドット (15nm)、グリコウイルス (50nm) をサイズプローブとする競争的細胞取り込みから確認できる。両親媒性グリコクラスター化合物がナノ粒子へ、さらにグリコウイルスへと成長してゆく過程は糖クラスターの会合挙動が階層的に制御されていることを物語っている。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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