Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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C. elegans のムチン型O-結合糖鎖の合成は一群の糖転移酵素家系によって開始する
Fred HagenMichael LaydenKeith NehrkeKaren GentileKari BerbachChe Chia TsaoMichele Forsythe葉山 洪平林 淳
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2001 年 13 巻 73 号 p. 463-479

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抄録

C. elegasO-結合型糖鎖の発生における役割を遺伝学的に調べるのに適したモデル動物である。ポリペプチドGalNAc転移酵素 (ppGaNTase) は、ゴルジ体で一群のタンパク質、すなわち細胞表面や、細胞外基質へと輸送されるタンパク質、及び分泌タンパク質のセリン、ないしスレオニン残基に翻訳後修飾としてN-アセチルガラクトサミンを転移する酵素家系である。C. elegans はゲノム中に哺乳類ppGaNTaseと有意な配列類似性をもつ遺伝子を9つ含む。これらから構造上のトポロジーが等しい糖転移酵素をコードする13のmRNAが派生する。この遺伝子家系の規模が大きいことから、ムチン型タンパク質へのO-結合型糖鎖の付加は、動物細胞では組織特異的に発現した各種ppGaNTaseアイソザイムによって制御されていることが示唆される。
胚から幼虫期において、一群の糖転移酵素がどのような細胞特異的発現を示すかを知るため、C. elegans のppGaNTase家系を構成する各メンバーについて、lacZまたはGFPレポーターを発現するトランスジェニック線虫の構築を行った。これらアイソフォームの時空間的な発現に関する予備的なデータから、ppGaNTaseアイソフォームの特異的な分布が、発生過程におけるO-結合型糖鎖付加の特異性と可能性を制御していることがうかがえる。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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