日本外科系連合学会誌
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症例報告
異時性三重複癌を呈した肝原発腺扁平上皮癌の1切除例
鈴村 和大末岡 英明近藤 祐一飯室 勇二黒田 暢一平野 公通岡田 敏弘麻野 泰包中正 恵二藤元 治朗
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2014 年 39 巻 4 号 p. 739-742

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抄録

症例は71歳の男性で,6年前に直腸癌に対して低位前方切除術を施行.1年2カ月前に胃癌に対してEMR施行後の経過観察中に肝腫瘍を指摘されたため,精査加療目的で当院入院となった.造影CT検査で肝S2に辺縁不整で内部不均一に造影される約3.5cm大の腫瘍性病変を認めた.消化管精査では明らかな異常所見を認めなかったため,肝内胆管癌と診断し肝外側区域切除,リンパ節郭清,および下大静脈側壁の一部を合併切除した.病理組織学的検査で肝腫瘍は腺扁平上皮癌と診断された.術後は特変なく経過し退院となるも,手術から11カ月後に肺転移が出現し術後17カ月で死亡した.肝原発の腺扁平上皮癌は比較的稀である.今回われわれは異時性の三重複癌を呈した肝原発の腺扁平上皮癌の1切除例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2014 日本外科系連合学会
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