2012 年 85 巻 5 号 p. 191-195
ランダムな粗さをもつ超撥水上での,nLレベルの微小液滴の蒸発過程での濡れ転移を,水滴の上面と側面から高速度カメラを用いて連続的に観察した。液滴は初期にはCassieモードで撥水をしていたが,蒸発が進むにつれてWenzelモードへ濡れ性が転移し,その際,液滴の内部には完全に濡れずに気泡が残る様子が観察された。またその際,三重線の周辺に液膜が形成され,sunny-side-up stateに類似の状態がみられた。このような状態の実現には,液体と固体の表面エネルギーの大きさの相対関係が重要であることが示唆された。