1995 年 28 巻 6 号 p. 995-998
我々は後縦隔腫瘍により手術を行った透析患者例を経験した. 症例は49歳男性. 1993年より糖尿病性腎症にて血液透析導入を開始した. 生体腎移植希望のため, 移植前に行ったスクリーニング胃内視鏡検査で異常所見を指摘され, 精査. 食道重複嚢胞の疑いで食道胃部分切除, 食道胃吻合を行った. 術後病理組織診断にて, 腫瘍は食道壁内に発生した気管支嚢胞であることが判明した. 食道壁に発生する気管支嚢胞は縦隔腫瘍の中でも稀な疾患であり若干の考察を加えて報告する.