保存的治療を受けた脳出血入院例76名 (男41名, 女35名, 平均62歳) に, 超伝導磁気共鳴画像 (MRI, 1.5Tesla) を用いた無症候性の脳血管病変 (出血, 梗塞) を検索した.内訳は高血圧性脳出血65例 (初発51例, 再発14例 : 梗塞→出血5例, 出血→出血9例) と非高血圧性脳出血11例である.無症候性脳梗塞は高血圧性脳出血例の88%, 非高血圧性に55%に認め, この差は有意であった (p<0.05).一方, 無症候性脳出血は高血圧性脳出血例の23%のみにみられた.このうち初発脳出血患者では無症候性脳出血の合併が10例 (20%), 14ヵ所にみられ, 被殼または視床に9例, 12ヵ所と多くを占めていた.無症候性脳出血は長期の高血圧歴, あるいは降圧療法を行っていた例に合併頻度が高い傾向が見られた.症候を呈する高血圧性脳出血の前段階としての無症候性脳出血の重要性が示唆された.