中温無加水メタン発酵槽内におけるアンモニア蓄積回避の手段として,原料にシュレッダー紙を混ぜC/N比の調整を行った。発酵槽内の菌叢についてクローンライブラリー構築およびReal-Time PCRによる遺伝子定量を行った。生ごみのみを原料とした時はアンモニアが蓄積し,処理性能が低下した。この時,アンモニア生成菌であるFinegoldia magnaに近縁なクローンが,Bacteriaに対して45%の存在率で最も優占していた。一方,生ごみにシュレッダー紙を投入しC/N比の調整を行ったところ,アンモニア蓄積による発酵阻害は回避されたが,F. magnaに近縁なクローンは減少し,これに対してセルビオース等の資化能を有するStreptococcus alactolyticusに近縁なクローンが優占化した。Archaeaについては,水素資化性メタン生成古細菌に近縁なクローンが全期間を通じて優占していたが,シュレッダー紙投入後,Archaeaの存在量は2オーダー減少した。特に酢酸資化性メタン生成古細菌であるMethanosarcina属の存在量の減少が顕著であった。これに対応して,シュレッダー紙投入後プロピオン酸蓄積が起こり,処理性能が悪化した。このシュレッダー紙投入によりプロピオン酸が蓄積する現象は,バッチ試験でも確認された。