日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報
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原著
超高精細 CT を用いた日本人の気管の大きさと形状についての検討
宮本 真齋藤 康一郎中川 秀樹
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2023 年 126 巻 3 号 p. 200-207

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抄録

 気管は輪状軟骨につながる管で, 頭頸部の運動, 呼吸, 発声などで長さや太さが変化する. 気管の正確な形態学的データは, 気管切開術を行う際に有用となる. 本研究では, 超高精細 CT を用いて日本人における第2気管輪と大動脈直上の前後径と横径, 第2から第7気管輪の形状, 第2気管輪の横径を基準とした前後径との差と比について検討した. 対象は, 診断や治療目的に超高精細 CT にて喉頭気管部分の撮影を行った症例である. 第2気管輪と大動脈直上の前後径と横径を測定できたのは男性33名 (平均60.3歳), 女性11名 (平均46.1歳), 第2から第7気管輪の形状は仮想内視鏡像が作成できた男性34名 (平均58.8歳), 女性12名 (平均49.8歳) であった. 第2気管輪の前後径平均は男性19.2mm, 女性13.9mm, 横径平均は男性18.8mm, 女性14.0mm, 大動脈弓直上の前後径平均は男性21.1mm, 女性16.0mm, 横径平均は男性19.2mm, 女性15.6mmであった. 第2気管輪の形状は, 楕円形と C 型が一番多かったが, 第7気管輪ではU型が多かった. 第2気管輪で気管横径を基準として前後径を見た場合, 差は-7.34~6.99mm, 比は0.71~1.54の範囲に分布していた.

 本研究では, 日本人成人における気管の大きさと形状に関して検討し, 気管カニューレを用いた気道管理に有益な情報が得られたと考える.

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© 2023 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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