日本耳鼻咽喉科学会会報
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総説
好酸球性副鼻腔炎の診断と治療
藤枝 重治坂下 雅文意元 義政徳永 貴広二之宮 貴裕
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2014 年 117 巻 2 号 p. 96-102

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抄録

好酸球性副鼻腔炎は, 鼻腔内に多発性鼻茸を有する篩骨洞主体の病変で, 嗅覚障害を伴い, 鼻粘膜や末梢血中で好酸球増加を伴う難治性副鼻腔炎である. 経口ステロイドが有効であり, 内視鏡下鼻副鼻腔手術を行っても再発が多い. 現在, 大学病院レベルで行われている内視鏡下鼻副鼻腔手術の約30%が好酸球性副鼻腔炎であった. 好酸球性副鼻腔炎は, 鼻粘膜組織中の強い好酸球浸潤で診断されていたが, 研究班を組織し, 臨床所見や検査データから好酸球性副鼻腔炎診断基準を検討した. 現在, 発症年齢, 両側性, 鼻茸, 嗅裂閉鎖, 篩骨洞陰影優位, 薬物アレルギーの合併, 末梢血好酸球率の7項目からスコア化している. さらに好酸球性副鼻腔炎にも重症度分類が可能であり, アスピリン喘息に合併する好酸球性副鼻腔炎が最も難治性である.
治療法は, やはり経口ステロイドと内視鏡下鼻副鼻腔手術が主体である. 軽症例では内視鏡下鼻副鼻腔手術と適切な術後管理で治癒し得る. 経口ステロイドは, 血中コルチゾール値を適宜測定しながら, 注意深く長期に処方する. 好酸球性副鼻腔炎の発症機序はまだ不明のままであり, 今後の発展を期待する分野である. ステロイド以外の治療としては, 抗体療法に期待するがまだ本邦での使用は難しい.

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© 2014 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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