日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
シラカバ花粉感作例における口腔アレルギー症候群を起こす原因食物のクラスタリング
山本 哲夫朝倉 光司白崎 英明氷見 徹夫
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2008 年 111 巻 8 号 p. 588-593

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抄録

【目的】シラカバ花粉にアレルギーを有する患者は, 交差反応性のために, リンゴなどの果物や野菜を食べる時の口腔や咽頭の過敏症をしばしば訴える. こういった現象は現在では時に随伴する全身症状とともに, 口腔アレルギー症候群 (OAS) と呼ばれて注目されており, IgEを介したアレルギーと考えられている. われわれは問診にて伴いやすいOASの原因食物の関係について調べ, 食物を分類した. 【方法】対象は, 1995年から8年間に札幌市南区にある耳鼻咽喉科診療所を受診, シラカバ花粉に対するIgEが陽性で, 問診にてOASの既往を有する272例 (15歳から65歳) である. OASの診断は問診により, 様々な食物を食べた後のOASのエピソードの有無を尋ねた. OASを引き起こすことの多い, 14種の食物 (リンゴ, モモ, サクランボ, ナシ, プラム, イチゴ, キウイ, メロン, カキ, ブドウ, スイカ, トマト, マンゴーとバナナ) について, クラスター分析を用いて, OASを伴いやすい食物の分類を行い, 次にカッパ統計量を用いて, 個々の食物間の伴いやすさを確認した. 【結果】14種のOASの原因食物は2種のクラスターに分類された. 1つはバラ科の果物であり, もう1つはバラ科以外の食物である. バラ科の果物 (リンゴからイチゴ) は互いに関連していた. メロンとスイカは伴いやすかった. メロンとキウイはバラ科の果物とは関連は少なかった. バラ科以外の食物 (キウイからバナナ) は互いに関連しており, 伴う場合があった.

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© 2008 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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