日本耳鼻咽喉科学会会報
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当科における原発不明頸部転移癌
特に腺癌症例を中心とした臨床的考察
中村 有希井口 広義高山 雅裕楠木 誠角南 貴司子山根 英雄
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2003 年 106 巻 6 号 p. 671-677

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抄録

1. 1992年1月から2001年12月までの過去10年間に当科で経験した8例の原発不明頸部転移癌症例について臨床的検討を行い,さらに原発不明頸部転移腺癌に主眼を置き文献的考察を行った.
2. 今回の検討における原発不明頸部転移癌の頻度は,頭頸部悪性腫瘍総症例数の0.93%で,諸家の報告と合致するものであった.
3. 組織型別には半数を扁平上皮癌が占め,部位別では,上および中深頸部が過半数を占めた.N分類では,N2症例が5例,N3症例が3例であり,治療として手術療法を行った3例のN2症例に非担癌生存が得られた.
4. 文献的に,原発不明頸部転移腺癌は,後に原発巣が特定された場合,その原発巣は鎖骨下領域に存在することが多く(65.0%),一般的に予後不良と報告されている.原発不明頸部転移腺癌の治療法に統一された方法はないようであるが,可能な限り積極的に手術療法を中心とした集学的治療を行い,頸部局所制御に努めることが予後の改善に寄与すると考えられる.

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