日本耳鼻咽喉科学会会報
Online ISSN : 1883-0854
Print ISSN : 0030-6622
ISSN-L : 0030-6622
実験的慢性腎不全モルモットの蝸牛機能
蝸電図変化, 雑音負荷による影響
大橋 徹剣持 睦木下 祐継越智 健太郎菊地 仁
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 100 巻 6 号 p. 685-693

詳細
抄録

モルモットを用いて, 5/6腎切除法により慢性腎不全動物を作製した. 血清Cre, BUN値は異常上昇した. 術後1, 2, 3カ月経過動物から蝸電図を記録検討した. 術後1カ月ではまだ軽度だが, 2, 3カ月経過動物ではCAP, CMに高度異常変化が観察された. EPには少数例の検討ではあるが有意な電位低下は見られなかった. この結果から慢性腎不全は蝸牛機能障害の発生要因となることが示唆され, 障害部位として有毛細胞の関与を推察した.
続く実験では, 術後1カ月動物に広帯域雑音を負荷し, 直後から6時間後まで蝸電図変化の推移を検討したがコントロール動物と異なり雑音負荷直後に生じた異常変化は回復することなく持続した. この結果から, 腎機能不全と雑音負荷による相乗効果の発現が示唆された.

著者関連情報
© 日本耳鼻咽喉科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top